人間関係

海外にいったからこそわかる日本の良さ -観光プランナーのやりがい-

プロフィール

年齢:34歳
性別:女性
職業:観光プランナー
趣味:旅行、日本文化を英語で解説するブログ運営、ダイビング

自分史

私は、石川県金沢市の歴史と文化が色濃く残る町で、和菓子職人の父と専業主婦の母のもとに生まれました。幼い頃から観光客が行き交う環境に囲まれ、街の空気の中にある「伝統」と「人の感動」に、無意識のうちに魅了されていたのかもしれません。とにかく人と話すのが好きな子どもで、外国人観光客を見つけては「どこから来たの?」と声をかけるような、少し図々しいですが、素直な性格でした。

一番古い記憶のひとつは、父の工房で和菓子を手伝っていたときのこと。言葉が通じなくても、目の前の人が父のつくった菓子に目を輝かせている様子を見て、「伝えるって、こんなに素敵なことなんだ」と胸が高鳴ったのを今でも覚えています。小学生の頃には、観光客に金沢城のことを聞かれて答えられず、悔しさから地元の歴史を調べたこともありました。あの時から、「自分の町のことをもっと知りたい、そしてもっと伝えられるようになりたい」と思うようになった気がします。

中学時代に京都を訪れた修学旅行では、「旅には感動を生む力がある」と気づきました。それは、単に場所を訪れるということではなく、五感すべてで文化や歴史に触れる中で、人の心が揺さぶられるような体験。その“演出”に惹かれた私は、旅を「提供する側」になりたいと心の中でおもいました。

高校時代には英語スピーチに熱中し、「金沢の魅力を世界に届けたい」との思いを込めて語ったスピーチで全国大会に入賞したことは、とても嬉しかった瞬間です。大学では国際関係を学び、視野を広げたい一心でカナダへ留学。そこで気づいたのは、海外の人たちが日本に抱く“尊敬”や“好奇心”のまなざし、そして自分自身が日本文化について説明できないことの多さでした。外から日本を見たことで、改めて「日本ってすごい」と思えたことが、今の仕事の原点です。

卒業後、観光業界へ進み、最初の頃は不安や失敗もたくさんありました。雨で予定が崩れたツアーをどうにかアドリブで盛り上げた経験は、現場の臨機応変さを学ぶ大きな機会でした。そして、キャリアを重ねる中で、ひとりで頑張るのではなく「仲間とつくる旅」の価値に気づきました。夫がカメラマンということもあり、最近では「地元×映像」の企画にも取り組んでいます。私が企画を考え、彼が撮る——二人三脚でつくったPR動画が思いがけず多くの人に届いたとき、「感動は、誰かと共有することで本物になる」と実感しました。

今も、私は旅の計画をつくっています。ただし、それは単なる移動や観光地の紹介ではなく、「この町に出会えてよかった」と思える時間を演出すること。子どもの頃に感じた“人に伝える楽しさ”が、今も私の原動力です。

人生で大切にしている価値観は、「感動は共有してこそ意味がある」ということ。だから私は、観光という形で、それを人と分かち合いたいのです。憧れているのは、NHKの『世界ふれあい街歩き』でナレーションをしていた八嶋智人さん。彼の自然体であたたかな語りが、どこか自分の理想と重なります。

あのとき父の和菓子を囲んで笑っていた観光客の笑顔を、私は今もずっと追いかけているのかもしれません。

人生一番の成功はなんですか ?

地元・金沢を舞台にした外国人向けの文化体験ツアーと、そのプロモーション映像をプロデュースしたプロジェクトです。単なる観光案内ではなく、「暮らしの中にある本物の金沢」を体感してもらうことをテーマに、企画・現地調整・ストーリーボード作成・ガイド養成など、すべてに関わりました。夫が撮影・編集を手がけた動画も話題となり、実際にツアー参加者が大幅に増え、地元の商店の方から「観光の力ってすごいね」と言ってもらえたのが何より嬉しかったです。

人生一番の成功から学んだことはなんですか ?

“本物”は伝わるということ。そして、「誰かに任せる」のではなく、「自分も当事者として動く」ことの大切さ。小さな違和感を放置せず、丁寧に現場と向き合い続けたことが、成功に繋がったのだと思います。

人生一番の失敗はなんですか ?

社会人3年目のとき、海外インフルエンサー向けの体験企画でスケジュール管理を甘く見て、撮影許可が取れていないまま現場を迎えてしまったことがありました。関係各所に迷惑をかけ、信頼を失いかけた出来事でした。

人生一番の失敗から学んだことはなんですか ?

「当たり前」は決して当たり前ではない、ということ。準備とは、スムーズにいくことを想定するだけではなく、「何か起きたときにどう動くか」を考えておくことなのだと身をもって学びました。以来、プロジェクトごとに“想定外の想定”を入れるようにしています。

人生で一番大切にしている価値観はなにか ?

「感動は共有してこそ意味がある」です。誰かの心が動いた瞬間は、それを誰かと分かち合うことで、より深い記憶として残ると思っています。

なぜそれを人生の価値観と考えましたか ?

観光という仕事を通して、人が「思い出を誰かに話したくなる瞬間」を何度も見てきました。自分自身も、父の和菓子や留学先での日本紹介など、心が動いたときは、自然と誰かに伝えたくなる。それが私にとっての“生きる力”になっているからです。

人生で一番大切にしている価値観をもった具体的なエピソードはなんですか ?

PR動画の制作中、ただ風景を撮るだけでは「観光地紹介」にしかならないと気づき、地元の人々の営みや声、台所に立つ姿、職人の手元など、”生活感”を取り入れる提案をしました。結果、視聴者から「こんな旅がしたい」「この町の人に会いたい」といった声が多く届きました。“共有したい感動”は、人と人との距離を一気に縮める” それを体感した瞬間でした。

これからやりたい夢や目標はなんですか ?

日本各地に眠る「まだ知られていない魅力」を、海外に発信する映像アーカイブプロジェクトを立ち上げたいです。旅先で出会う日常の美しさや、名もなき人々の営みに光をあて、それを英語で紹介する。小さな村の祭りや、年季の入った家族経営の旅館など、“ガイドブックに載っていない日本”を残すことが、未来の観光の種まきになると思っています。

読者へのメッセージみなさんへのメッセージ

あなたの「当たり前」は、誰かにとっての「感動」かもしれません。私は、そんな日常の魅力を発掘し、旅という形で伝えることに情熱を注いでいます。もし、あなたの住む町にも「何もない」と思っている場所があれば、もう一度見渡してみてください。きっと誰かにとって、そこは“旅先にしたくなる場所”かもしれません。そんな出会いと発見を、これからも一緒に育てていけたら嬉しいです。

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