人間関係

水商売は本当に悪いことでしょうか? -想像と違うキャバ嬢のリアル-

プロフィール

年齢:27歳
性別:女性
職業:キャバクラ嬢
趣味:料理、深夜ラジオを聴くこと

自分史

私は大阪府堺市で生まれ育ちました。母子家庭で、母は昼間は事務の仕事、夜はスナックで働いて、私と弟を育ててくれました。家にはいつも母の帰りを待つ静けさと、どこか背中を預けたくなるような安心感が同居していて、私はその空気の中で人見知りだけれど甘えん坊な子どもとして育ちました。

小さい頃の楽しみは、母と一緒にインスタント味噌汁を作る時間でした。たった数分のやりとりなのに、その温度と香りは、今でも私の心を支えてくれています。小学生の頃は、外では控えめでありながらも、内には正義感を持っている子でした。いじめられている子がいれば、体が勝手に動いて助けていたし、それで嫌われても構わないと思っていた自分がいました。運動会でリレーの最後を走り、奇跡の逆転を起こしたあの日、自分も人の役に立てるんやって初めて思えた気がします。

中学生になると、少し反抗的になりながらも、家庭の状況を理解し始めた私は、母の代わりに弟の面倒を見たり、家事を手伝ったりするようになりました。その一方で、部活で出会った軽音楽に心を奪われ、初めてステージに立ったあの日の緊張と興奮は今でも忘れられません。自分の声で誰かの心を動かせる、そんな体験ができたことで、私の中にあった「どうせ私なんか」という感情が少しずつ変わり始めました。

高校に入ると、現実はさらに厳しくなります。大学への進学を希望していたものの、経済的な事情でそれは叶わず、卒業後すぐに働く道を選びました。キャバクラという世界に足を踏み入れたのも、そのときでした。最初は恐る恐るでしたが、お客様の話に耳を傾け、笑顔を引き出すことに喜びを感じるようになりました。大学に行けなかったことに劣等感もあったけれど、それを補うには、自分自身で価値を生み出すしかないと思いました。

社会人として最初の数年は、ひたすらがむしゃらでした。なめられたくない一心で、必死に笑顔を作り、空気を読み、信頼を得ようと努力しました。初めて指名をもらったとき、自分の存在が誰かの特別になったことが、本当に嬉しかった。そこから少しずつ余裕が生まれ、後輩の悩みに耳を傾けたり、アドバイスをしたりすることも増えてきました。「〇〇さんみたいになりたい」と言われたとき、ああ、私のやってきたことは間違ってなかったんやなと、心から思いました。

これまでの人生で一番の思い出は、母と弟と三人で囲んだ、何の飾り気もない普通の食卓です。母の手料理を久しぶりに味わいながら、「ここまで来たんやな」と実感しました。私にとって何よりも大切なのは、人を見下さず、敬意を持って接すること。どんな仕事であっても、どんな生き方であっても、その人が自分らしく誇りを持っていれば、それは尊重されるべきものだと思っています。

私の憧れは、やっぱり母です。ずっと働きづめでも笑っていて、誰にも弱音を吐かず、でも私にはいつも優しかった。あの背中を見て育ったから、今の私がある。いつか私も、誰かの心に残るような生き方ができたらと思います。水商売は、ただ華やかなだけの世界じゃない。でも、そこにも確かに、人と人との信頼や成長があるということを、私はこれからも伝えていきたいです。

インタビュー

人生一番の成功はなんですか ?

夜の仕事に偏見を持たず、信頼してくれるお客様に出会い、6年間キャバクラで働き続けられたことです。「この子に会いたい」と思ってもらえるようになったことは、私にとって大きな成功です。

人生一番の成功から学んだことはなんですか ?

信頼って一日では築けないけど、毎日積み重ねたものは、ちゃんと人の心に届くんやってこと。どんな世界でも、誠実さは武器になると実感しました。

人生一番の失敗はなんですか ?

最初の頃、自分のことを大きく見せようと背伸びばかりしていた時期があります。うまくいかなくて、精神的にも疲れきってしまったことがありました。

人生一番の失敗から学んだことはなんですか ?

自分を偽っても続かないし、しんどいだけ。結局、一番大事なのは「自分らしくいること」。無理せず自然体でいることが、長く人と関わるためのコツやと思います。

人生で一番大切にしている価値観はなにか ?

人を見下さないこと。どんな人にも、その人なりの背景や理由がある。それを想像することが大切やと思っています。

なぜそれを人生の価値観と考えましたか ?

母がいつも言ってました。「うちらみたいな仕事してたら、いろんな人と出会うけど、どんな人にも同じ目線で接することができる子でいてほしい」って。その言葉が今も、私の中に残ってます。

人生で一番大切にしている価値観をもった具体的なエピソードはなんですか ?

ある日、少し泥酔していたお客様に、他の女の子たちはあまり近づこうとしなかった。でも私は話を聞いてみたら、その人は身内を亡くして気持ちの整理がついてなかっただけやったんです。真剣に話を聞いて、一緒に泣いたことをきっかけに、今も常連として通ってくださっています。相手を“面倒な人”と見るか、“何か抱えてる人”と見るかで、その先の関係が変わると実感しました。

これからやりたい夢や目標はなんですか ?

自分の店を持ちたいです。お酒を出す店でもええし、夜の仕事を引退した子たちが安心して働ける場所を作るのも夢。「人を癒せる場所」をつくるのが、私の次の目標です。

読者へのメッセージみなさんへのメッセージ

水商売って、やっぱり偏見もあるし、自分でも最初は後ろめたい気持ちがありました。でも、人の心に寄り添う仕事って、どんな形でも尊いものやと思っています。どんな世界にも努力してる人がいて、笑顔の裏にドラマがあります。だからこそ、他人を一面だけで判断せず、その人の背景を想像する優しさを、持っていてほしいなと思います。
そして今、自分の道に迷ってる人がいたら、声を大にして言いたいです。「どんな生き方でも、自分が納得して、誰かの力になれるなら、それは立派な生き方や」と。

コメントを残す

*