プロフィール
年齢:36歳
性別:男性
職業:カメラメーカーの開発部
趣味:漫画を読むこと、漫画を描くこと、写真を撮ること
自分史
第1章:水戸の片隅で芽生えた小さな種
1988年、私は茨城県の水戸市という、のどかな田舎町で産声を上げた。父、母、姉そして妹と、男は自分一人という賑やかな家庭環境だった。幼い頃から、姉や妹の遊びに付き合うことが多く、自然と女の子向けのおもちゃや、色とりどりの少女漫画が身近な存在となった。
内気な子供だった私は、いつも姉や妹の後ろに隠れているような存在だった。自分の意見をはっきりと言うことは苦手で、二人の言うことにただ頷いていることが多かった。しかし、姉や妹と三人で庭の隅に作った秘密基地は、私にとって特別な場所だった。段ボールや木の枝で囲まれた小さな空間で、お菓子を分け合い、漫画を読み耽る時間は、何にも代えがたい宝物だった。あの秘密基地での、好きなものに囲まれた安心感は、心の奥底で漫画への憧れという小さな種を育んでいたのかもしれない。
第2章:図書室で出会った運命の一冊
小学校に入学しても、大人しい性格は変わらなかった。運動神経も人並み以下だったため、休み時間は一人で絵を描いたり、図書室で本を読んだりして過ごすことが多かった。そんなある日、小学校の図書室で、私は運命の一冊の少女漫画に出会う。それまで何気なく読んでいた漫画とは全く違う、繊細な絵柄と、主人公の女の子が困難に立ち向かいながらも自分の気持ちを大切にするストーリーに、幼いながらも強く心を惹かれた。何度も何度もページをめくるうちに、「自分もこんな物語を描きたい」という漠然とした夢が、心の片隅に芽生え始めた。
中学校に入ると、周りの目をより気にするようになった。特に、好きなものが周りの男の子たちと違うことに、少し引け目を感じるようになった。それでも、漫画への想いを断ち切れず、唯一興味のあった漫画研究会に入部した。そこでは、初めて自分の描いた拙い漫画を友達に見せる経験をした。「面白いね」という言葉が、内気な少年にとって、小さな自信となった。
第3章:押し殺した夢と、かすかな希望の光
高校生になると、将来のことを考えるようになった。本当は美術系の大学に進みたかったが、両親や先生に反対されるのが怖く、結局、無難な地方国立大学の工学部を選んだ。自分の本当にやりたいことから目を背けた、苦い選択だった。しかし、漫画への情熱が完全に消えたわけではなかった。文化祭で漫画研究会のメンバーと作った同人誌が、意外にも好評を得たのだ。自分の描いた漫画を褒めてくれる人がいる。その小さな成功体験は、心の奥底で燻っていた夢に、かすかな希望の光を灯した。
大学時代は、一人暮らしを始めたことで、少しだけ開放的な気分になった。漫画研究会では、同じ趣味を持つ仲間と出会い、好きな漫画の話で盛り上がることができた。アルバイト先の漫画喫茶では、様々なジャンルの漫画に触れ、さらにその魅力に引き込まれていった。漫画研究会の合宿で、仲間と夜通し語り合った時間は、かけがえのない思い出だ。
第4章:安定という名の檻の中で
大学卒業後、私はカメラメーカーの開発部に入社した。安定した企業で働くことは、周りの期待に応えるための、自分にとっての「正解」だった。仕事は忙しく、論理的な思考が求められる毎日の中で、漫画を描く時間は徐々に減っていった。自分の内側に秘めた夢は、日々の忙しさに押し流され、忘れかけていた。
入社して数年後、自分が開発に携わった製品が世に出た時の達成感は確かにあった。しかし、その喜びの中に、どこか満たされない気持ちが常に付きまとっていた。本当にやりたいことは、こんなことではないのではないか。心の奥底の声は、聞こえないふりをしていた。
第5章:心の声に導かれて
30歳を過ぎた頃、ふと立ち止まって自分の人生を振り返るようになった。このまま、本当に自分のやりたいことをせずに人生を終えてしまうのか。そんな焦燥感が、日増しに強くなっていった。そんな時、偶然見つけた昔の少女漫画のノート。下手な絵ではあったけれど、当時の自分が一生懸命描いた物語やキャラクターは、色褪せることなく、私の胸に鮮やかに蘇った。「やっぱり、自分はこれが好きだったんだ」。抑え込んでいた感情が、堰を切ったように溢れ出した。
あの時、過去の自分の作品に触れたことが、私にとって大きな転機となった。「まだ遅くないかもしれない」。そう思えた瞬間から、心の奥底に眠っていた夢が、再び息を吹き返し始めた。安定した生活を手放すことへの不安はあったが、自分の心に嘘をつき続けることはもうやめようと、固く決意した。
第6章:中年おじさんの少女漫画家への道
あれから数年。36歳になった今、私は会社員として働きながら、少女漫画家になるという夢を追いかけている。かつての私のように、自分の気持ちを押し殺して生きている誰かに、私の描く物語を通して、少しでも勇気や希望を与えられたら。それが、今の私の最大の願いだ。
茨城県水戸市で生まれた、内気な少年が見た夢は、長い年月を経て、今、現実に向かってゆっくりと歩き始めている。これからどんな困難が待ち受けているかは分からない。それでも、あの秘密基地で感じた安心感、図書室で出会った運命の一冊、漫画研究会の仲間との熱い語らいを胸に、私は自分の信じる道を、一歩ずつ進んでいきたい。これが、自分の心に嘘をつき続けてきた、中年おじさんの少女漫画家への道の、始まりの物語である。
インタビュー
人生一番の成功はなんですか ?
「成功」と呼べるほどの大きなことは、まだ成し遂げていないかもしれません。ただ、今の時点で振り返ると、長年押し殺してきた「漫画を描きたい」という心の声に、ようやく正直に向き合い始めたこと、そして、実際に少女漫画家を目指して行動し始めたこと。これが、私にとって一番の成功と言えるのではないでしょうか。周りの目を気にしたり、安定を求めたりして、ずっと蓋をしてきた自分の本当の気持ちを解放できた。その一歩を踏み出せたことが、何よりも大きな進歩だと感じています。
人生一番の成功から学んだことはなんですか ?
一番の成功から学んだことは、「自分の心の声に耳を傾けることの大切さ」です。周りの意見や社会的な評価も大切かもしれませんが、最終的に自分を突き動かすのは、内から湧き上がる情熱や欲望です。それを無視し続けていると、いつか必ず後悔する。自分の心に正直に生きることこそが、充実した人生を送るための第一歩なのだと、改めて痛感しました。
人生一番の失敗はなんですか ?
人生一番の失敗は、高校生の時に、自分の本当にやりたい道を諦めて、周りの期待に応えるような進路を選んでしまったことだと思います。美術系の大学に進みたいという強い気持ちがあったのに、両親や先生に反対されるのを恐れて、無難な理系の学部を選んでしまった。あの時の決断が、その後長年にわたって、心の奥底に拭いきれない後悔の念を残すことになりました。
人生一番の失敗から学んだことはなんですか ?
一番の失敗から学んだことは、「恐れずに自分の気持ちを伝えること、そして、自分の選択に責任を持つこと」です。あの時、勇気を出して自分の夢を伝えていれば、違う未来があったかもしれません。周りの意見も大切ですが、最終的に自分の人生を決めるのは自分自身です。他人のせいにしたり、環境のせいにしたりするのではなく、自分の選択に覚悟を持つことの重要性を学びました。
人生で一番大切にしている価値観はなにか ?
人生で一番大切にしている価値観は、「誠実さ」です。それは、他人に対してだけでなく、自分自身に対しても誠実であるということです。自分の本当の気持ちに嘘をついたり、見て見ぬふりをしたりせずに、常に正直でありたいと思っています。
なぜそれを人生の価値観と考えましたか ?
幼い頃から、自分の気持ちを押し殺して、周りに合わせることが多かった私ですが、その結果、いつもどこか満たされない気持ちを抱えていました。自分の心に嘘をつき続けることは、結局自分自身を苦しめることになる。そう痛感した経験から、「誠実さ」こそが、自分らしく生きるための基本的な要素だと考えるようになりました。
人生で一番大切にしている価値観をもった具体的なエピソードはなんですか ?
幼い頃から、自分の気持ちを押し殺して、周りに合わせることが多かった私ですが、その結果、いつもどこか満たされない気持ちを抱えていました。自分の心に嘘をつき続けることは、結局自分自身を苦しめることになる。そう痛感した経験から、「誠実さ」こそが、自分らしく生きるための基本的な要素だと考えるようになりました。
これからやりたい夢や目標はなんですか ?
社会人になってしばらく経った頃、仕事で大きなプロジェクトを任されたことがありました。しかし、その進め方について、自分の考えと上司の指示が大きく異なっていました。周りの同僚は上司の意見に賛同していましたが、私はどうしても納得がいきませんでした。最終的に、私は自分の考えを上司に正直に伝えました。結果として、私の意見が一部採用されることになり、プロジェクトはより良い方向へと進みました。あの時、自分の気持ちに正直に向き合い、伝える勇気を持てたことが、私にとって大きな自信となり、「誠実さ」の大切さを改めて認識するきっかけとなりました。
読者へのメッセージみなさんへのメッセージ
これからやりたい夢は、もちろん、少女漫画家としてデビューし、自分の描いた物語をたくさんの人に読んでもらうことです。そして、私の漫画を通して、読者の方々が少しでも笑顔になったり、勇気をもらえたり、優しい気持ちになれたら、本当に嬉しいです。また、年齢に関係なく、誰でも夢を追いかけることができるということを、自分の活動を通して伝えていきたいと思っています。