プロフィール
年齢:32歳
性別:男性
職業:市役所職員(福祉課)
趣味:休日に家族と散歩、公園でピクニック、Netflixで社会派ドキュメンタリーを観ること
自分史
私は埼玉県川越市で生まれました。両親は共働きで、私はいわゆる“鍵っ子”として育ちました。家に誰もいない時間が当たり前だったからこそ、幼いながらに自分のことは自分でやるという意識が自然と身についていたように思います。けれど決して寂しかったわけではなく、母がたまに仕事を早く切り上げて一緒にスーパーに行ってくれる日が、何より楽しみでした。そんな小さな幸せの記憶は、今でも心の奥に残っています。
小学生の頃は、真面目で先生の言うことをよく聞く子どもでした。学級委員にもよく選ばれて、周りから頼られる立場にいることが多かったと思います。でも、実は負けず嫌いな一面もあって、運動会のリレーでバトンを落としてしまったときも、全力で拾って走り切ったあの瞬間が、自分の中で「諦めない」という価値観の土台を作ってくれました。
中学生になると、少しずつ自分の意見を言えるようになり、仲間と深く付き合う中で「人と向き合うこと」の難しさと楽しさを知りました。文化祭では軽音部の仲間とバンドを組み、初めてのドラム演奏に挑戦。あのとき感じた一体感と高揚感は、今でも忘れられません。好きなことに熱中する力が、自分を動かす原動力になる。そんな実感を得た時期でした。
高校では成績も部活もそこそこの普通の生徒でしたが、人との関係には恵まれ、進路に迷った時には担任の先生が親身になって相談に乗ってくれました。そのおかげで、自分の関心が向いていた「社会のしくみ」や「働き方」に興味を深めるべく、東京の私立大学の社会学部へ進学することを決めました。
大学時代は理屈っぽくなったというか、「なぜ?」と考える癖がついた頃でした。ゼミでは若者の働き方に関するプレゼンを行い、現代の労働環境について真剣に議論したことを覚えています。今振り返ると、まさか自分がその“働き方に悩む若者”の一人になるとは思いませんでした。
新卒で入社したのは、都内のIT系ベンチャー企業でした。営業職として配属された私は、数字に追われる毎日を過ごしました。朝から晩まで働き、休日も返上、深夜に帰宅しては疲れ果てて眠るだけの生活。最初は「これが社会人ってものか」と自分に言い聞かせていましたが、次第に「何のために働いているんだろう?」と疑問が生まれました。そんなとき、ネットで偶然見つけたのが「退職代行モームリ」の存在でした。自分一人では辞める決断がつかなかった。でも、助けを借りることで一歩を踏み出せた。その夜、電話を終えてひとり泣いたのを今でも覚えています。情けなさと同時に、少しだけ希望のようなものも感じていました。
退職後は人生をリセットするような気持ちで、改めて自分の進む道を考えました。そして選んだのが公務員という道。時間をかけて勉強し直し、なんとか市役所の福祉課に採用されることができました。今は生活に困っている方々の相談に乗る日々を送っています。仕事を通して「誰かの力になれること」が自分の支えにもなっていると感じられるようになりました。
今では、妻と2歳になる息子との3人暮らし。休日には近くの公園でピクニックをしたり、Netflixで社会派ドキュメンタリーを観ては、当時の自分を振り返ったりしています。息子が初めて「パパ」と呼んでくれた日には、今までの苦労が一気に報われたような気がしました。
大切にしている価値観は「誠実さ」です。相手にも、自分にも、まっすぐに向き合うこと。それが結果的に、自分の人生を豊かにしてくれると信じています。そして今も、自分の中の青島刑事のような「現場主義で情に厚い大人像」を追いかけながら、公務員として、父親として、一歩ずつ進んでいます。
インタビュー
人生一番の成功はなんですか ?
ブラック企業を退職し、公務員試験に合格して、市役所で働くという新しい道を切り拓けたことです。あのまま我慢を続けていたら、心も身体も壊れていたかもしれません。自分の意志で環境を変えたこと、それが人生で一番の成功です。
人生一番の成功から学んだことはなんですか ?
「逃げること」と「立ち向かうこと」は両立するということです。ただ耐えるだけが正解ではなく、自分の人生を守るために行動を起こす勇気もまた“立派な選択”なんだと学びました。
人生一番の失敗はなんですか ?
新卒で入った会社で、無理をしすぎて心も身体もボロボロになってしまったことです。「まだ頑張れる」と思い込み、限界を見失っていた自分にとっては、大きな失敗でした。
人生一番の失敗から学んだことはなんですか ?
「我慢は美徳」だけじゃないということです。限界を超えるまで頑張るのではなく、自分の心の声をきちんと聞くことの大切さを身をもって知りました。
人生で一番大切にしている価値観はなにか ?
「誠実さ」です。誰かに対しても、自分に対しても、嘘をつかず、まっすぐに向き合うこと。それが長い人生を支えてくれる基盤になると信じています。
なぜそれを人生の価値観と考えましたか ?
どんなに辛くても、誠実に行動していたからこそ、周りの人が助けてくれたり、次の道が開けたりした経験があるからです。誠実であることは、最終的に人との信頼を築き、自分を裏切らない生き方だと感じています。
人生で一番大切にしている価値観をもった具体的なエピソードはなんですか ?
市役所で担当した生活保護の案件で、ある高齢の方が「あなたが親身に話を聞いてくれたから、助けを求めようと思えた」と涙ながらに話してくれたときです。決して派手な対応をしたわけではありません。ただ、誠実に、丁寧に、一人の人として向き合った。それが伝わったとき、誠実さの力を心の底から実感しました。
これからやりたい夢や目標はなんですか ?
まずは福祉の現場で、もっと多くの方の力になれる存在になること。将来的には、育児と仕事の両立支援や、若者の働き方に関する地域の取り組みにも関わっていきたいと思っています。過去の自分の経験を、誰かの「逃げ道」ではなく「新しい道」に変える力にしたいんです。
読者へのメッセージみなさんへのメッセージ
「逃げること」は、負けではありません。むしろ、自分の人生を大切にするための“最初の一歩”かもしれません。もし今、苦しい環境にいるなら、誰かに頼ることも選択肢のひとつです。そして、自分を誠実に生きることを忘れなければ、道はきっと開けます。どんな過去も、次の人生の糧になる。私はそう信じています。